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南界堂通信〈秋号|第20号〉

エイズ対策のキーパーソンたち

中国地方のエイズ予防をゲイコミュニティと関係諸機関の連携で!HaaTえひめ代表/BRIDGEプロジェクト代表・新山 贒さん

フリーランスのWEBデザイナーをやりながら
エイズ予防の団体〈HaaTえひめ〉代表を務める新山さんに突撃インタビュー!

MASH大阪(以下M):新山さんといえば、中四国地方を飛び回って活動してる方っていうイメージなんですが、どこでどんなことをやっておられるのか教えてください。

新山:まず、中四国のゲイタウン向けにエイズ予防を呼びかけるコミュニティペーパーをつくり、配布しています。中四国地方にはゲイ向けのバーなど商業施設が全部で60軒くらい。〈HaaTえひめ〉が全店に郵送しています。次に、ゲイ向けクラブイベントでMASH大阪と連携している〈ヤる!プロジェクト〉のキットを配布しています。三つ目は、松山、高松、徳島のゲイタウンでのコンドーム配布。四つ目は行政が開催するエイズ関連研修会への講師派遣。これまでに愛媛県、松山市、香川県、岡山県、山口県、広島市に派遣しています。それから、イベントを開催。L.T.計画と連携して〈Living Together〉を松山で9回、新居浜で1回、岡山で1回開催しています。最近では10代MSM向けに独自のイベントを開催し、居場所づくりとエイズ予防を支援しています。ほかに市民向けイベントやシンポジウムなども開催しています。あ、それから厚労省エイズ対策研究班の協力団体としての活動もありますね。

M:全部ひとりでやってるわけではないですよね……(汗)

新山:もちろん、〈HaaTえひめ〉には5~6名のスタッフがいますし、事あるごとに中四国各地で活動している団体とも連携しています。もちろんコミュニティペーパーを置いてくれるゲイバーのママさんたちの協力もあります。というか、活動をはじめるきっかけになったのは、実はママさんたちから教えてもらったことが大きかった。

M:そのあたりのいきさつを教えてもらえますか?

新山:僕がゲイデビューしたのは1999年ですが、周囲でエイズになる方もいて、一気にエイズに関心が向いた。そんなとき、バーのママさんたちから「男同士のセックスには性病に罹りやすい行為がたくさんあるのよ」って教えてもらった。でもそういう情報は身近にはなかったから、2000年にゲイ情報サイトを立ち上げ、少しずつ情報を発信しはじめた。2006年には〈HaaTえひめ〉を立ち上げ、松山市在住のゲイの人たち向けにコミュニティづくりとエイズ予防の両面で活動をはじめたわけです。しかし活動するうちに、小さな地域で活動することの限界を感じ始めました。活動を小さな地域に限ると、リソース(資金源や人材)も限られ、活動が小さくなる。そんな状況に問題を感じて、自分たちの活動を四国四県に広げる計画を立て、トヨタ財団に助成金を申請したわけです。

M:それで活動が一気に広がった?

新山:そうです。申請の段階で四国四県への配布活動をすでに計画していましたので、2010~2011の二年間は助成金を利用して確実に活動を広げることができました。一方で、自分たちの活動が中四国のゲイコミュニティにどの程度効果をもたらしているのだろう、という疑問もずっと感じていました。そうした疑問が後押ししてくれたのが、この分野で長年研究を行っている名古屋市大(当時)の市川誠一先生とお会いする機会があり、以後、研究活動にも協力するようになったわけです。

M:研究に参加するようになって発見とかありました?

新山:ええ。たとえば、愛媛県は東予、中予、南予の三つの地域に分かれるのですが、地域によってゲイの人たちの予防や検査行動に違いがあることがわかりました。そうすると地域ごとに予防プログラムを立てやすくなりますし、行政に対しても要求を出しやすくなります。ただ、中四国の行政にはゲイ男性はまだまだリアルな存在として見えていないので、要求はなかなか通らないですね。難しいです。

M:そんな困難にもかかわらず活動を続けていられる原動力はどこから?

新山:自分でもよくわかりませんが、ひとつには、生まれ育った愛媛が好きだし、今後もずっと住み続けるつもりだから、そこにある問題とは向き合っていきたいと思っています。

M:貴重なお話、どうもありがとうございました。

「大切な情報なのに身近にはなかった…」そんな思いが彼を突き動かし、情報発信を届ける為に立ち上げたゲイ情報サイト。ゼロから作り上げ、手探りで情報を更新しながら継続してきた結果、「大切な情報がすぐそばにある環境」に変えていった新山さん。地元愛媛に特化した情報サイトはもちろん今も健在しています。旅行の際にはお役立てください。

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