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南界堂通信〈秋号|第20号〉

男朋友

ハッテン場オーナーHさん突撃インタビュー
安全に遊べるハッテン場をめざして

20年にわたりハッテン場を経営しつつ、
いろんな意味で“安全な”お店づくりに励んできたHさんにお話を伺いました。

MASH大阪(以下M)“安全な”お店づくりにどんなことをやっておられますか?

Hさん:ひとつ目の「安全」はエイズなどの性病に感染しない「安全」です。初めてのお客さんには受付で「必ずコンドームをつけてね!」と言います。言うだけでなく、至るところにコンドームを置いています。2階にあがる階段の手前、階段を上がったところ、部屋の壁のあちらこちらに台紙を貼り付けてあって、そこにコンドームをすぐ剥がれるように貼り付けてあります。ちょっと手を伸ばせば、そこにコンドームがある、そんな環境ですね。長年この方針を貫いているので、「この店は安全だから」という理由で来るお客さんが多くなります。そうすると、たまにコンドームを付けない人がいると「ナマでやってる客がいるで~」とか「ナマでやる客をなぜ入れたんや!」という苦情が来ます。そうした情報から個人を割り出し、受付で「ナマはアカンよ!」と直接言います。

M:(コンドームがいたるところに貼り付けてあるのを確認しつつ)徹底してますね。

Hさん:最近は台湾からのお客さんが増えているのですが、googleの翻訳機能を使ってしつこいくらい指導します。でも台湾のゲイの人にはセーファーセックスが浸透しているのか、苦情が出たことはありません。台湾だけでなく、アジアからお客さんは大切にしたいですね。

M:ほかにお客さんに徹底されていることはありますか?

Hさんケータイやスマホを部屋に持ち込まないことですね。これはお客さんのプライバシーを守るためです。今のスマホはとても鮮明な画像の写真が撮れますからね。

M:なるほど。そこまでしてお客さんの安全をはかりたいと願うようになったのは、何かきっかけがあったのですか?

Hさん友人をエイズで亡くしたことが大きいですね。もうずいぶん前のことですが、その友人はとてもひどい状態で亡くなりました。容体が急変して、病院の対応が追い付かず、医者が悔し涙を流す、そんな状態で亡くなったんです。今のお店の客は20代、30代の若い人たち、いうなれば息子や孫の世代。そんな若者にあの苦しみを味わって欲しくない、そういう思いがあります。それから、この商売をはじめる前に新世界にあったSMクラブで働いていたのですが、SMクラブではお客さんのニーズを理解しないといけない。SかMか、だけでなく具体的にどんな行為を求めているのかをお話ししながら把握する必要があるわけです。そういうサービスのやり方を今でも受け継いでいるというか……お客さんのニーズを把握しそれに応えていくというかたちのビジネスを自分はやりたいのだろうなって思います。

M:フツーのハッテン場とは少し違う、どこか家庭的なサービスを心掛けておられる印象ですが……

Hさん:そうですね、でもこれはオーナーだからできること、他に従業員のいない、個人商店だからできることなのかもしれません。でも、安全なセックスのための理想的な環境にこだわるお店がひとつでもあることが大切やと思っています。ひとつの判断基準になりますから。

M:そうですね。私たちも「Hさんのところでは手を伸ばせば届くところにコンドームが置いてありますよ」って言えることになりますね。貴重なお話、どうもありがとうございました。

取りやすい場所に設置されたコンドームや、自店HPの掲示板に書き込まれるナマ交尾の呼びかけの削除など、セーファーセックス推進に尽力されているHさん。出会い系アプリの登場でハッテン場を利用する人も減少傾向にある中、お客さんを呼び込むためにあれこれと試行錯誤もされている。「大変なことも多いけどこの仕事が好き!」と言い切るHさんの熱意と潔さに、人間的なカッコ良さと人徳の深さを感じました。

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