海外男街通信
ミッフィーから大麻まで…今回はアムステルダムからお届けします!!
国際エイズ会議に参加する為、オランダはアムステルダムまで行ってきました。時期的に近隣諸国でもプライドパレードだったり、ゲイゲームズ(セクマイの五輪)開催直前だったり、欧州の夏はセクマイ祭りで華やか。
寛容を裏打ちするもの
売買春、同性婚等、性についても合法ルネサンスのようなオランダですが、野放図な空気は感じられませんでした。
普段から街のそこかしこに虹の旗が掲げられていますし、閑静な街のギャラリーの軒先にも無料のゲイタウンマップがあったり。大阪の御堂筋のような大通りにセックス博物館もあります。
会議場の外には「bye bye stigma(バイバイ、偏見)」と飾られており、社会全体へ偏見から解放を語りかけているようでした。
自由は一日にしてならず
アムス中央駅近くの青少年科学館のような場所(SciencecenterNEMO)では、性教育のコーナーがある階の半分を割いてます。生殖や体の構造的な解説は勿論、第二次性徴をポップなアニメーションで展示したり、ジェンダーやセクシュアリティについても様々な見て触って踊ってと体感的に学べる造りになっています。ディープキスを腕でシュミレート出来るミトンの遊具では親子がキャッキャと楽しんでいました。これは日本にも欲しい施設です。
お仕着せの知識や思考でなく、血肉となり得るような方法を試行錯誤している事に感じ入りました。
淡々と裸
ベルリンとアムスでのプライドパレードにも参加しました。アムスに至ってはフロートの船(フロートは地上でなく運河を行く)にも乗せてもらいました。セックスワーカー団体の船です。
ベルリンでは開始前の会場近く、大きなテラスカフェの横で年輩の男性と思しきグループが全裸にペイントし合っていました。黙々と真顔で。
かと思いきや「犬になりたい」フロートまであり、犬の着ぐるみを着た人らが酷暑の中神妙な眼差しで荷車を引いていたり。
終着点の広場では屋台やダンス会場に混じりバンジージャンプまで…。共生の行く末は果てしない。さすがミヒャエル・エンデを生んだ国です。
ドレスコードもequality
アムスのパレードでは性器露出はNG。でもトップレスはOK。そこに性別の記載は無く、私はトップレスで口紅で赤い傘を胸とお腹にかけて描いたのですが、無問題どころか岸から見ていた多くの人々からサムズアップを沢山いただきました。
アムス滞在中にゲイの元セックスワーカーで現在はセックスワーカーへのソーシャルワークに就いている人のお家にも訪問しました。パートナーとのお手製の料理をご馳走になりながら、パートナーの前でもセックスワーカーであった話が出来る。セックスワークも同性愛者である事も個人の側面や人生の一部として活かしたり楽しめる事に心の中でスタンディングオベーションしました。
奇しくも渡欧中、日本では杉田水脈議員の「同性愛者には生産性がない」発言が取り沙汰された頃でした。違う人間同士がなるべく公正に共生する社会の為に試行錯誤(失敗や誤りも含めて)を重ねてきた歴史の上での虹色の旗の街を歩きながら、あんな発言は間違っていると証言が出来る将来は日本でも必ず作れるという自信だけは体感し、持ち帰ってきたので自信補給係としてもこれからもよろしくお願いします。
文・写真◉げいまきまき
元セックスワーカー、パフォーマー、distaのスタッフ、セックスワーカーの安全と健康を応援するSWASHに所属。性(Sex)と労働(Work)をめぐって現場で蓄積されてきた知をもとに、セックスワーク研究を切り開くはじまりの一冊「セックスワーク・スタディーズ 当事者視点で考える性と労働」(日本評論社)でも執筆しています。
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