男朋友
地域コミュニティのキーパーソンに
白鷺城の城下町でLGBT交流の拠点を開設しただいすけさんに突撃インタビュー
MASH大阪(以下M):『そらにじひめじ』を始めるけっかけは?
だいすけ:LGBTの活動としてさまざまな人と出会うきっかけとなったのは台湾パレードです。2014年でした。開催の3日前に、誰かに背中を押されるようにして急に決めたんです。台北で東京のグループと出会い、翌年は東京のパレードに初めて参加。一度歩くと「顔が差すかもなぁ」なんて心配しなくてもいいと分かって、火がつきましたね(笑)。LGBT関連のイベントを探しはじめると、あるある、いろんなモノが(笑)。まず、パートナーの親族に精神疾患の人がいることもあって、精神疾患を持つLGBTの自助グループのイベントに参加させてもらいました。さまざまなセクシュアリティの人たちが自分たちのことをなごやかに語り合う会で、これが市民活動に参加した最初の経験でした。レズビアンの人たち、トランスジェンダーの人たちのことも身近に感じられるようになったんです。その後、今度は身近な人からHIV陽性だと告げられて、「あ、これも身近な問題なんだ」と考えられるようになった。distaのアウトリーチに参加したのもこのころです。振り返ってみると、自分はゲイとして抱える生きづらさを考えないようにしていたのかもしれない。自分や周りの人たちが抱える問題が少しずつ見えてくると「自分で何かでけへんやろか?」と考えるようになった。そして2015年の日本エイズ学会に突然参加したんです(すかさず隣にいたパートナーから「アポなしトラベラーって呼ばれてるんですよ、この人」とツッコミが入る)。単純に、HIV関連の情報を得たかった。
M:そこでまた新たな出会いが?
だいすけ:そうなんです。今度は京都でバザールカフェをやっていたてるちゃん(榎本てる子さん。HIVカウンセリング、HIV陽性者・外国人労働者支援、神学部教育など幅広く活動、2018年に死去)。「バザールカフェにおいでよ」と誘われ、翌年2月にフラッと寄ってみた。たまたまてるちゃんもやってきたので、そのとき考えていた構想をぶつけてみた。何かの課題に関心のある人は誰でも参加できるような交流会をやってみたい、と。そしたらてるちゃんが一言「やったらええやん!」
M:ドーンと背中を押されたカンジ?
だいすけ:そうですね。姫路に帰ってから、LGBT交流会のツイッターのアカウントを作ると、すぐに反応があって、翌年(2017年)1月に第1回目の交流会を開いたんです。
M:ここで?
だいすけ:いえ、まだスペースはなく、市内の会議室を借りました。広報はツイッター。運営は、これまで訪れたさまざまな交流会を参考に、自己紹介と近況報告→トピックを選び意見交換→まとめ・結論は出さない、という形にしました。交流会を毎月開くうち、薬物依存の支援、路上生活者支援、ひきこもり支援、保護猫ボランティア(笑)…いろんな人たちとの出会いがあった。そして重要なことに気付きました。薬物依存の人にもひきこもりの人にもLGBTはいるんですが、そのことが言いづらい。逆にLGBTの集まりではひきこもりや精神疾患のことが言いづらい。あと、ひきこもりだけどペットショップには行けるというグレイゾーンにいる人もいる。自分だって何かと何かのグレイゾーンにいるのかもしれない。そう考えると、交流会の意義みたいなものが見えてきた。どういったらいいか…アイデンティティの枠をこえて課題を共有し支援につなげる場、といえばよいのかな。
M:このスペースはどうやって開いたのですか?
だいすけ:バザールカフェを訪れてから、ずっと自分たちのスペースを持ちたいと思っていたところ、ひょんなことから安い物件が見つかったので即決。利用料をいただいて家賃に振り当てることにしました。『そらにじ』という名前は、青森にある同名のお店の運営方針に感動し、名前を使わせてくださいってお願いしたんです。
M:暖簾分けですね(笑)。貴重なお話、どうもありがとうございました。
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