男色エンタメ紀行
ここ数年のLGBTブームの煽りを受け、日本のテレビドラマでもセクシュアルマイノリティを描く作品が増えてきました。ゲイエロティックアーティストとしてゲイ雑誌でお馴染み田亀源五郎さんが描いたマンガをドラマ化した「弟の夫」(NHK)、トランスジェンダーが主人公の「女子的生活」(NHK)や、ドラマの反響を受け映画化が決定している「おっさんずラブ」(テレビ朝日)そして「国民的人気番組」と言っても過言ではない朝の連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK)では、ヒロインの親友役としてゲイが登場しました。
前者の二作品はどちらかと言うと視聴者のターゲット層が20〜30代の若者向けだったのに対し、朝の連続テレビ小説に関して言えば若者よりも高齢者層に根強い人気がある訳で、そのドラマの中にゲイが登場するという事は、やはりLGBTブームがもたらした新しい時代の到来を告げる画期的な試みなのかもしれません。ちなみに、「女子的生活」ではトランス女性、「半分、青い。」ではゲイを演じたのは若手俳優・志尊淳さん。24歳という若さながら、難しい役どころに果敢に挑戦し、「カメレオン俳優」としていろんな作品に引っ張りだこな彼。映画版「おっさんずラブ」にもメインキャストとして出演が決定しています。
昨年大ヒットした映画「ボヘミアン・ラプソディ」でもお馴染み、QUEENの名曲で彩られた青春ドラマ「腐女子、うっかりゲイに告る。」(NHK)や、テレビや雑誌で人気の女装家・ブルボンヌさんがキャラクター監修を担当し、個性派俳優・古田新太さんがゲイで女装家の教師を演じている「俺のスカート、どこいった?」(日本テレビ)と、今年に入ってもその流れは続いていますが、群を抜いて話題なのは、西島秀俊さんと内野聖陽さんがゲイカップルを演じている「きのう何食べた?」(テレビ東京)ではないでしょうか?! 講談社発行の雑誌「モーニング」に連載されている、よしながふみ原作のマンガの実写化で、十年以上掲載されている事から、ゲイのみならず幅広い読者層から支持を得ている人気作品だけあって、放送開始前に主演二人のビジュアルが発表されるだけでもすごい反響があり話題を総ざらいしていたように思います。「料理」がキーワードとなる作品で、マンガでもドラマでも毎回美味しそうなご飯が登場するのですが、ドラマの人気を受けてレシピ本まで出版される事になりました。美容師と弁護士、価値観も少し違うふたりが織りなすほのぼのとしたエピソードは、まさにゲイとして生きる私たちのあるあるネタと重なり共感もできます。人気も話題度もこれだけ高ければ、「おっさんずラブ」同様、続編の制作もあるかもしれませんね。
セクシュアルマイノリティが「普通」に描かれる事が増えるだけでも、LGBTに対する偏見や無知の解消に繋がっていくと思います。これからのテレビ業界には「笑い者」「イロモノ」ではなく、あくまでも「普通の人間」として描くステキな作品をどんどん作り出して欲しいなと思います。
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