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南界堂通信〈秋号|第28号〉

海外男街通信

Belgium

ベルギー × ゲイ × エイズ対策

ベルギー

ベルギーの大学の海外インターンシップで来日し、distaで研修中だったヨナス・ヴァン・デ・ハーゲンさんにベルギーのゲイライフとエイズ対策について伺いました。途中、同じベルギー出身で偶然同じ町(ゲント)に住んだこともある留学生のタンギィくんも話に加わってもらいました。

ヨナスベルギーから来たヨナスと申します。出身はブリュッセルから少し西に行ったところにある古い街ゲント。小さいときは女友達とばかり遊んでいました。写真をやってる従姉がいて、彼女の影響で14歳のときゲントにある芸術系の高校に進学しました。すでに自分がゲイだろうということは気付いていましたが、その高校はとても自由な雰囲気の、ダイバーシティに敏感なところだったので、特にドラマティックなカミングアウトなんてことも起きず、快適な毎日でしたね。
高校を出て、いったんアントワープにある王立ファッション大学に1年間通ったんだけど、ファッションという分野では世界でも数少ない高等教育機関ということもあってなかなかにタフな環境でした。そこで学んだのは「効率よく働くとはどういうことか」「システムはどのように機能するか」。でもだんだんと、自分にとって最もピッタリくる表現方法はファッションではなく写真ではないかという思いがつのってきた。それでゲントに戻り、ゲント芸術大学に入り直して、写真を専攻することにしたんです。
写真をとおして何を表現したいかっていうと、いろいろあって(笑)、「いま何が起きているか」「セクシュアリティ」そして「時間という枠組み」。こうした三つのテーマにそって自分自身を表現するのが、今の僕にとっていちばん心地よいことなんです。
なぜ日本に来たかというと、ゲント芸術大学の大学院に進学して、海外でアーティスト・イン・レジデンス(ある地域に長期滞在しつつ作品を制作する仕組み)をやろうとなったとき、東京でやりたいと思った。なぜかというと、東京は世界で一番、一人暮らしの人が多い街だし、そんな大都市の環境に身を置くことで自分自身と向き合ってみたい、自分のものの見方を問い直してみたい、と思ったわけ。それで昨年東京に2ヶ月間滞在して、いったん帰国したんですが、今度はゲイコミュニティ関連のNGOに所属しつつ作品を制作したいという気持ちが湧きあがってきて、それでツテをたどってMASH大阪にたどり着き、そこでの活動に参加しながら作品を制作しているところです。
エイズ対策についてベルギーと日本の違う点は、ベルギーはイギリスと同じくホームドクター制の国なので、例えばゲイ男性がHIV検査をしようと思ったら公立病院で検査を受けます。陽性であれば自分が所属するホームドクターのところへ検査結果を持っていき、ホームドクターから専門病院を紹介してもらう、という段取りになります。もちろんすべてのホームドクターがゲイフレンドリィとは限りませんが、診療拒否はできないことになっています。

(左)ダンギィくん (右)ヨナスくん
(左)タンギィくん (右)ヨナスくん

タンギィ僕が生まれたのはゲントからさらに西に行ったところにある、海沿いの街オステンド。そこで通った高校はカトリック系の、とっても厳しいところだったから、カミングアウトなんて思いもよらなかった。卒業してから級友たちと集まったとき「僕ゲイなんだ」「実は僕も」なんて話になっておかしかった。大学に行くためにゲントに引っ越ししたんだけど、オステンドと比べるとずっとリベラルな雰囲気の街で、ボーイフレンドと手をつないで歩けるのはうれしかった。
ゲントから電車で30分も乗ればブリュッセル。ブリュッセルは都会だし、多文化だし、充実したフリーマーケットがあるし、小さいけどゲイタウンもある。こじんまりしたゲントとは別世界だよね。

ヨナスホントにそう。でもそのこじんまりしたゲントに住む二人が大阪で、しかもdistaで出会うってなんてウレシイことなんだって思うよ。

タンギィ同感!!!

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