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南界堂通信〈春号|第30号〉

男朋友

プリヴェンション・アクセスキャンペーン

ここ2、3年の間で日本にもかなり浸透してきた「U=U」というメッセージをご存知ですか?
HIVに感染していても、ちゃんと治療を続けているとウィルス量が検出されなくなり、その状態であれば相手にHIVを感染させる事はないという、HIV陽性者にとってはとてもホットで明るいメッセージを持っています。この「U=U」を広めるべく世界規模で展開しているプリヴェンション・アクセスキャンペーンの発起人・ブルース・リッチマンが来日!
distaも訪問して下さったので交流会を兼ねた意見交換会を実施しました!

きっかけ
プリヴェンション・アクセスキャンペーンの発起人 ブルース・リッチマンさん
プリヴェンション・
アクセスキャンペーンの発起人
ブルース・リッチマンさん

「エイズ=死」というイメージを三十年経った今でも抱き続けている人は少なからずいる。でも実際にはどうなのか?医療の進歩や治療薬の開発でエイズでは死なない時代がやってきている。死なないという事は未来があるという事。それはそれで素晴らしい事だけど、HIV陽性者に、「自分が感染源となり相手を傷つけてしまうのではないか?」という不安から、セックスや恋愛を諦めていたり、億劫になっている人が多いし、実際にボクもそうだった。そんな時とても目を疑う研究結果と出会ってしまったんだ。投薬治療を受けているHIV陽性者と陰性者という組み合わせで感染率を調べるという研究で、なんと感染率がとてつもなく低い事が分かったんだ。「HIV陽性者だからといってセックスや恋愛諦めなくてもいいんだ!」「もっと積極的になってもいいんだ!」「ボクたちにも明るい未来が描けるんだ!」。とてもハッピーな気持ちになれたし、このポジティブな研究結果は多くのHIV陽性者に明るい未来を描くきっかけになるとも思った。そこから試行錯誤を繰り返し、「U=U」という造語を作り出したんだ。研究者たちには、研究結果やそこからわかった重要な事実がそれを必要とする人に届いていないことを伝えた。研究者は研究のプロであって、結果を周知するプロではないし、届いていないことに気付いていなかった。でも、その後なんと「U=U」が真実であることを伝える宣言を作り上げる活動にも参加してくれたんだよ。

キャンペーンの起ち上げと現状

研究結果のデータを持って健康局や行政に働きかけたんだけど、「エビデンスが不明瞭な研究は信用しがたい」と突っ返される事の連続。それでもボクは諦める事ができなかった。SNSを中心に地道に発信していき、今では世界規模のキャンペーンになってはいるけど、このキャンペーンそのものはたった三人で運営しているんだ。最初の三年間は自費を投じて展開していたんだけど、そんなボクに嫌気をさしたのか呆れてしまったのか、当時付き合っていたパートナーはボクの元から去って行ってしまったよ(笑)。それでもボクは何かに突き動かされるようにこのキャンペーンを続けていくしかなかった。そうこうしている内に、ニューヨーク市の保健局がボクたちのキャンペーンをバックアップしてくれる事になり、それをきっかけに行政やNGOもどんどん賛同してくれるようになったんだ。英語圏では「U=U」という言葉だけど、その国の言葉に置き換えて発信している国もあるので「K=K」だったり「O=O」「H=H」だったりと言葉は様々なんだ。賛同してくれている団体の活動はSNSやインターネットを通じて拝見しているし、ボクたちが拡散することで各国の取り組みを共有する事ができる。日本でも「ぷれいす東京」と「MASH大阪」の二団体が賛同してくれています。「U=U」を広める事を目的に、セクシーかつファビュラスなクラブイベントやSNSを最大限に活かしたアピールは本当に素晴らしいと感じました。あなた方の活動には敬意を表します。

これからの展望
プリヴェンション・アクセスキャンペーン

アメリカにはたくさんのエイズNGO・NPOがあるんだ。これだけ世界規模で「U=U」が広がっているにも関わらず、「U=U」に関して無関心だったり不信感を持っている団体も多く、例えばサンフランシスコで一番大きなエイズNGOのHPには「U=U」に関する記載が全くない。そういう団体に対して「「U=U」に関する表明を出して下さい!」としつこく申し入れをしているので、「面倒くさいヤツだな!」と煙たがれているのも事実です。「U=U」はHIV陽性者にとってとても有益なメッセージであって、ボクを嫌ったところで仕方ないと思うんだけどね。これからもしつこく申し入れは続けていくつもりだよ(笑)。既に賛同してくれているあなた方とはこれからも良きパートナーとして一緒に活動していきましょうね。

編集部のコメント

一部の人々からは嫌われているとはいえ、彼らの活動を評価している著名な方々もたくさんいて、親しみと敬意の意味合いを込めて「Mr.UU」と呼ばれている、とても包容力のあるブルース・リッチマンでした。

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