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南界堂通信〈冬号|第33号〉

時事ネタWATCH─中高年MSMと暮らし─

家を失ったLGBTを支援する!〜専用シェルターの取り組みから〜

東京で、「LGBTハウジングファーストを考える会・東京」が、住まいを失ったLGBT当事者のシェルター増設のためのクラウドファンディングを行い、その成果で新たなシェルターが開設準備中です。東京の話題ではありますが、新型コロナ禍で社会に不安感が広がる昨今ですので、ご紹介します。

この会は、さまざまな状況におかれたLGBT当事者・生活困窮者の支援を続けている個人・団体が集まったグループで、支援活動を通じ、受けてきた相談の中には、住まいを失い「ホームレス状態」になったことがあったり、あるいは現在なっているというLGBT当事者の方からのものが少なくないと言います。

設立の経緯は、「LGBTについての話題が、メディアなどで華やかに取り上げられることも多い現在。このような「LGBT当事者の貧困によるホームレス状態」の問題は、これまで表だって取り上げられてきませんでした。特にゲイ・バイセクシュアル男性やトランスジェンダーの方が、一度路上に出てしまった場合に入ることが出来る支援施設は不足しています。」とのことです(HPから)。

メンバーには、ぷれいす東京の生島さん、前文京区議の前田邦博さんといったこれまでHIV/エイズやLGBT支援の活動を続けてきた顔ぶれも。

2019年1月から中野区内で、入居者の受け入れを開始しました。入居者は、同居人から暴力をうけ、路上生活になり、その後就職した先でゲイだとバレ職場いじめにあい、友人宅に身を寄せていた方、工場などの住み込みの派遣の仕事を短い期間で転々とされ、直近の職場内の男性からのセクハラを受け申し入れをするも、適切な対応をされなかったため仕事を失い、同時に住まいをなくされた方などです。(前田さん)

「住む権利」は人が生きていくための最も基本的な権利の1つで、生存の基盤です。そうした居住場所の保障は本来行政の責任でもある筈です。また、この権利は、別にLGBTだけに保障されるものではなく、全ての人に保障されるべきものでしょう。

もっとも、現実に、LGBTがさまざまな困難から住まいを失う可能性が大きく、また、公的な支援にアクセスしにくいという現状があるのであれば、まずは、LGBT専用の個室シェルターを用意するというこうした方策もアリと個人的には思います。

今回のシェルターの増設は、「コロナウイルスの影響を受け、仕事が急減したり、雇い止めにあう人が増えたり、多くの人々の生活に影響が出ています。経済的な要因だけでなく、社会的孤立によって精神的に追い詰められることによって、この先、生活困窮状態になる方が増えることも予想されています。こうした状況を受けて」のことだそうです。

クラウドファンディングは終了しましたが、もちろん、活動支援の寄付は常時募集中とのこと。新型コロナ禍に限らず何かと不安な今日この頃、こうした取組みへの支援の動きが広まってほしいと切に思います。(大畑)

【公式ホームページ】

LGBT支援ハウスの「3つのサポート」 貧困・孤独・病気という負のスパイラル

大阪の状況は?

さて、ここ大阪はどんな状況なのでしょうか。西成区を拠点にケアマネとして活動する梅田政宏さんにコメントをいただきました。

「大阪は、身近な範囲での支援の選択肢が、民間レベルですでに多く存在するところがあります。特に西成区はそうで、昨今、西成区でのLGBTの可視化はかなり進んでいると思われます。『萩まち不動産』の小林さん、『釜ヶ崎支援機構』、ドヤ街地域のネットワークにつながっている訪問看護・介護事務所などから支援依頼が来るのですが、特にトランスジェンダーの方々のケースが目立って増えています。

大阪の状況は? 大阪の状況は?

以上のような実績を通してみると、ハウジングファースト的な取り組みは、これまでの労働者および野宿者支援の枠組みのなかで機能していると思います。支援者の皆さんにLGBTの存在をアピールすることを続けてきたことに加え、LGBTの当事者たちが地域のお祭りやボランティア活動などに参加してきたことが実を結びはじめているのかなと思っています。」

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