南界堂茶会
新型コロナ対策でお茶もお茶菓子も無い茶会となりました第14回は「中高年世代♂♂とバー文化」をテーマに、DUNGAREE(堂山)のHIDEKIさん、ドラゴン(新世界)の直樹さん、ぽかぽか屋(ミナミ)のTORUさんをゲストに迎えて緊急事態宣言下の9月20日に開催されました。話はコロナとともに生きる知恵からゲイタウンに行く目的の変化へと広がりました。
緊急事態宣言が出てお店の営業はどのようにされましたか。
HIDEKIさんは「去年から開けたり閉めたりを繰り返し、緊急事態宣言中は休んでいましたが今週末(9月17日)から政府の要請に沿って週末のみお酒の提供無しで営業しています」
直樹さんは「もともとの本職を生かしてたこ焼きを提供しながらカフェ営業を続けています」
TORUさんは「まん防(※①)の時は時短営業をしました。ゴールドステッカー(※②)を苦労して取り時短営業をしてきました。40ページもある資料を見ながら対策し、申請が通ると一つ山を越えたという自信になり、お客様の安心につながりました。緊急事態宣言中は休んでいましたが延長が重なり、大阪府の要請に沿って営業を再開しました」
周りのお店の状況はどうでしたか。
コロナの初期は65歳以上で罹ったら死ぬというぐらいの勢いで、ミナミは60歳前後のマスターのお店はお客様の年代がそのあたりが多いこともあって、「僕たちは休もうねというていで休んでいる感じでしたね」とTORUさん。その後、まん防中はお店を開けていたのが7月にゴールドステッカーが始まり、対策ができないと協力金がもらえず開けたいけど閉めなくてはという状況になりました。TORUさんはお世話になっている年輩のマスターから相談を受けて申請の手伝いをされました。
新世界は、まん防の時は営業しているお店も、していないお店もあったのですが、カフェ営業のお店は看板を点けて午後8時まで営業しています。
「やっているお店はうちをあわせて6軒ぐらい」と直樹さん。新世界のメインはフケ専ですが、自分のお店は休んでいるが飲みに行こうというパワフルな方もいるようです。
堂山で慎重なのは3、4、50代向けのお店とお客様で、会社での立場もあってか感染対策を聞いてくるなどコロナを真摯に受け止めている方が多いようです。「閉めた方がいいという空気がめちゃくちゃありました」とHIDEKIさん。
ワクチン一つみても
ワクチンが急速に普及してきて「ワクチンパスポートで行動緩和」が聞かれます。確認をするのにストレスがあるのではと不安がある。また、お客様の安心のために接種した方を区別したい。国で決まったらそれに沿うしかない。そのあたりのルールがどうなるか予想して過ごしている、との意見がありました。
コロナ禍で気づいたこと
TORUさんは散歩をしていて天下茶屋の不動明王に出会ったお話をされました。皆から愛されている不動明王を拝むようになり、新たな人生観を得られたそうです。2年近く店をほとんど休んでなかったのにコロナで休むようになってストレスだったが、「息を抜くことは生き抜くことである」という掲示には休むことに意義を見出されたそうです。
HIDEKIさんからお店に来る目的について、「昔は男あさりに来ている。知り合いを作る。彼氏を作る。友達を作る。という深い縁を作ろうとしていたのがたぶん昔のゲイバーで、今は正直浅いと思う」と聞きました。「30年前、僕らママはお客様の本名と住所、仕事を知っていた」と。今はLINEやSNSでつながっていて毎週のように来られていても連絡先がわからない方が多いそうです。ゲイバーで表面的な軽い話を楽しげにしていることに違和感があり、深いことを真摯に話せる相手がいるのかしらという不安感もあるそうです。
また、コロナ禍で何人かのお客様から陽性になり外に行けないので食べ物を買ってきてくださいという依頼を受けたことには、よくよく考えると頼める相手がいないことに気づき、頼られたうれしさと悲しさ、ゲイバーの位置づけがこれだけ変わったことを身に染みて感じられたとのこと。
HIDEKIさんのお話が私たちを取りまく状況を的確に表しているのではないでしょうか。
- ※①:まん延防止等重点措置。新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて政府から発出される法的措置の一つ。
- ※②:2021年6月に受付開始された大阪府感染防止認証ゴールドステッカー認証制度。申請はweb受付のみ。
- DUNGAREE(堂山) 070-8386-1944
- ドラゴン(新世界) 06-6710-9853
- ぽかぽか屋(ミナミ) 06-6633-1152
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