男朋友
いつのまにか海をまたぐ懸け橋に!?
オンライン上で東アジアの「zine(ジン)」なるものを販売展示するloneliness Booksというインデペンデントな本屋を立ち上げた潟見陽さんにお話をうかがいました
MASH大阪(以下M):loneliness Books(ロンリネスブックス)なるものを立ち上げたきっかけは?
陽:2015年に初めてソウルのプライドパレードに参加して、そこで「クィアをテーマにした zine(ジン)」と呼ばれる文化に出会ったのがきっかけです。
M:「zine(ジン)」とは?
陽:言葉の意味は、たぶん、magazine(=雑誌)のzineから来ていて、個人の作り手が、時には手作りで制作するインデペンデントな出版物といえばいいのかな。
M:同人誌みたいなもの?
陽:イメージとしては、近いかもしれません。いま世界でzineという名前で盛り上がっています。
M:で、そのソウルのプライドパレード、いかがでした?
陽:それが、とても面白かった。東京のプライドパレードは「ハッピープライド」って感じで企業色も強い印象なんですけど、ソウルのパレードはまた違っていて、社会的、政治的なメッセージがいっぱいあるし、反対派との衝突もあるいっぽう、アーティストや小さな出版社もたくさん参加していて、そんなブースを見て回るのがとても楽しくて。そこにクィア、フェミニズム、ジェンダーなどをテーマにしたzineもたくさん並べられていたんです。
M:なるほど。そのzineを日本のLGBTQのコミュニティにも流通させたいという思いからloneliness Booksを立ち上げた?
陽:zineだけでなく、東アジアの主に韓国、台湾、香港という三つの地域のLGBTQにかかわる書籍も扱っています。書籍八割、zine二割くらいかな。立ち上げるきっかけになったのは東京のプライドパレードなんです。2019年の春に東京のプライドパレードで東アジアのzineや本などを紹介するブースを出したら、反響がすごくて、それで思い切って立ち上げようと。
M:そもそもソウルのパレードに行こうと思ったのはなぜなんですか?
陽:ぼくは昔から韓国とは縁があって(笑)。高校の頃ハンドボールをやっていたんですが、韓国は強豪国として有名で、その頃から興味があったのと、10年くらい前にテレビで「いま韓国の絵本が面白い」っていう番組をやっていて、それで実際にソウルの書店に行って絵本を見てみたらその多様さとクオリティの高さにびっくりして。ぼくはもともと絵は好きなんだけど活字は苦手で、絵本も昔から好きだったんですね。そういうところで韓国の絵本に出会って、「あ、これはスゴイ!」ってなった。
M:潟見さんはloneliness Booksを立ち上げる前にも来日して間もないLGBTQの人たちに向けたNot Alone Cafeを立ち上げたり、distaの「韓国を知ろう!」的プログラム「あんにょんパンド」に参加したりと、コミュニティのネットワークづくりに向けた活動を積極的にやっておられる印象がありますが……
陽:ぼくは京都の出身で、90年代に関西のクイア・フィルム・フェスティバルにボランティアで参加していたんですね。でも発言したり書くことが苦手だし、まわりには積極的に活動する人たちが山ほどいて、「いったい自分にできることってなんだろう」ってずっと考えていたんです。あれから20年、ようやく「自分にできること」が少しだけ見えてきたのかもしれませんね。あと、「自分にできること」でいえば、新宿三丁目にある『タックスノット』っていうゲイバーで毎週水曜日バーテンダーをやってます。そこでお会いできたらうれしいです。
M:どうもありがとうございました。
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