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南界堂通信〈春号|第26号〉

エイズ対策のキーパーソンたち

“よりよい検査環境の構築を目指して.../上野信子さん(大阪市北区区長)

西日本最大級のゲイタウン・堂山を擁する大阪市北区。
北区保健福祉センターでは今年度からHIVの夜間検査が実施されています。
そんな取り組みを実施している大阪市北区区長・上野信子さんに突撃インタビュー!

MASH大阪(以下M)夜間検査はどのような経緯を経て実施する事になったのですか?

上野:北区役所では、昨年度まではHIV・梅毒・クラミジア検査を月曜から金曜日まで毎日、昼間に実施していました。「平日の昼間では検査を受けに行くことが難しい」という利用者の声もあり、平日の昼間の検査日を減らし、代わりに、第五金曜日の夜間検査を実施してみようという事になりました。

M:検査のシステムそのものを見直し、業務時間外でもある夜間検査を取り入れる事は大変だったと思うのですが...

上野:大阪市の二十四区は「行政区」という事もあり、一区役所だけの判断で何事も決定するのは、難しい現状があります。しかし、夜間検査の実施を望んでいる人が大勢いて、我々もそのニーズを把握しているのであれば、前向きに取り組んでいく必要があります。区役所当該課の課長や実際に検査に従事する保健師と何度も検討を重ねると共に、大阪市の健康局や保健所とも密な連携を取りながら、夜間検査の開催に至りました。

M:「次年度、夜間検査を実施する事になったので、広報協力のご相談をできませんか?」という連絡を北区の保健師さんから頂いた時は、私たちMASH大阪のメンバーもビックリしたのと同時に、「北区、よくやったな!」という称賛の嵐でしたよ。

上野:そう言って頂けるととても嬉しいですし、大いにやりがいを感じます。

M:上野さんの中でHIVに対するイメージってどんな感じですか?

上野HIVとAIDSの違いを正確に知っている人はまだまだ少ないような気がします。間違った認識のままでいると、いつまでも偏見は解消されないと思うので、正しい知識や最新の情報を広く届けていく事はとても重要なミッションだと感じています。

M:いま最も新しい情報として世界規模で推奨されている「U=U(検出限界以下は感染しない)」というメッセージはご存じですか?

上野:今回この取材を受けるにあたり保健師と共に勉強させて頂きました。感染していてもきちんと治療を続けていれば、自分が感染源にはならないというのは、とても大切でインパクトのあるメッセージだと思いますし、偏見の解消への大きな一歩になると思います。皆さんが取り組んでおられる「U=U」プロジェクトのポスターも拝見しましたが、多角的に訴求する効果的なデザインですね。なによりもたくさんの方がこのプロジェクトに賛同し、参加していることに注目しています。

M:実際に夜間検査を実施してみてどうでしたか?

上野:六月に開催した一回目の夜間検査は予想以上の反響に、対応が追い付かないという事態に陥りました。待合スペースの確保や検査導線の修正といった、運営方法の改善の必要性は課題として浮き彫りになりましたが、不安を抱えている人がこんなにたくさんいらっしゃったのかということを、あらためて実感しました。

M:今後も夜間検査は継続されるのでしょうか?

上野:確約するのは難しいところではありますが、継続していきたいと思います。大きな健康課題の一つですから。HIVが知らぬ間に進行、拡散するのを防ぐためにも、早期に検査を受けられる体制を整えることは重要です。検査の運営体制を適宜見直し、実情に即した対応ができるように取り組んでいきます。

M:貴重なお話ありがとうございました。

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