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南界堂通信〈秋号|第40号〉

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「結婚の自由をすべての人に」裁判、
大阪地裁は憲法違反を認めず。

6月20日、大阪地方裁判所で、「結婚の自由をすべての人に」裁判の判決が言い渡されました。昨年3月の札幌地方裁判所が、民法が「同性愛者に対しては、婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは,立法府の裁量権の範囲を超えたものであって、憲法十四条一項に違反する」と判断したことから(本誌35号参照)、全国で2つ目のこの判決は注目されましたが、結果は、憲法に違反しないという残念な内容でした。

判決は、現行法が憲法二十四条に違反するか否かについては、同条が「両性」や「夫婦」との文言が使われていることや、憲法制定過程でも婚姻が男女間のものであることが当然の前提になっていたことを理由として、憲法二十四条の「婚姻」は異性間の婚姻のみを指し、同性間の婚姻を含むものではないから、婚姻をするについての自由も異性間についてのみ及ぶと判断しました。

法の下の平等を定めた憲法十四条に違反するか否かについては、「異性間の婚姻は、男女が生み育てる関係を社会が保護するという合理的な目的により歴史的、伝統的に完全に社会に定着した制度であるのに対し、同性間の人的結合関係にどのような保護を与えるかについては…なお議論の過程にあること、同性愛者であっても除く相手と親密な関係を築く自由は何ら制約されておらず、それ以外の不利益も、民法上の他の制度を用いることによって相当程度解消ないし軽減されていること、法制度としては存在しないものの、多くの地方公共団体において登録パートナーシップ制度を創設する動きが広がっており、国民の理解も進んでいるなど上記の差異は一定の範囲では緩和されつつあると言えること等からすると、現状の差異が、憲法十四条一項の許容する国会の合理的な立法裁量を超えたものであるとは直ちにいい難い」として、憲法十四条一項に違反しないとしました。

「結婚の自由をすべての人に」裁判、大阪地裁は憲法違反を認めず。 「結婚の自由をすべての人に」裁判、大阪地裁は憲法違反を認めず。

地方公共団体におけるパートナーシップ制度は、海外で見られるような「登録パートナーシップ」制度ではありませんし、「結婚」とは異なり、法律上の効果もないのですから、判決が「差異が緩和されつつある」と述べていることは明らかにおかしいと言わざるを得ません。

そもそも、地方公共団体でパートナーシップ制度が広がったのは、国が何ら制度を作ろうとせず議論すらしない中で、当事者や支援者、心ある地方公共団体の長が地道な努力を重ねてきたからです。それを、「だから国会の裁量を超えていない」という認定に使うとは、話が真逆ではないでしょうか。

https://webronza.asahi.com/national/articles/2022062900005.html?page=1
同性婚を否定した大阪地裁判決の無限ループ論法
ジャーナリストの北丸雄二さんも、「同性婚を否定した大阪地裁判決の無限ループ論法」で、この点を鋭く批判しています。

判決は、次のようにも述べています。
「我が国においても近年地方公共団体の登録パートナーシップ制度が増加しているが、原告らの主張によっても、これらの制度によって同性カップルに対する差別や偏見は解消されつつあるというのである。差別や偏見の真の意味での解消は、むしろ民主的過程における自由な議論を経た上で制度が構築されることによって実現されるものと考えられる。」

要は、国会の議論に委ねると言うことです。しかし、「民主的過程における自由な議論」が十分に機能していないから、原告は裁判を起こさざるを得なかったのではなかったでしょうか。全国の次の判決は、11月に東京地裁でが言い渡しが予定されており、注目されます。

全国の原告団もツイッターを開始!

大阪地裁判決は、当事者の切実な声に耳を傾けることなく、「民主的過程」つまりは国会に下駄を預ける形で終わりました。判決の後、全国の裁判の原告も、もっと声を上げていかねば、との思いで、ツイッターを始めました。チェックしていきたいと思います。
全国5都市の裁判所で行われている、【けじすべ】こと「#結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告団です。裁判を通して感じた原告たちの声を、みなさんにお届けします。

https://twitter.com/kejisubegenkoku
Twitter@kejisubegenkoku

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