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南界堂通信〈秋号|第40号〉

海外男街通信

ロンドンの
セックスワーカー
展覧会見聞記
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ソーホー探訪

ICAのセックスワーカーの展覧会パンフレットと販売されていたゲイ雑誌※distaで閲覧できます。
ICAのセックスワーカーの展覧会パンフレットと販売されていたゲイ雑誌
※distaで閲覧できます。

私の名はげいまきまき。元セックスワーカー、現在はパフォーマンスや映像作品をつくる作家として活動しています。distaのスタッフの仕事もしています。今回はまず、今年の2月から5月にかけてロンドンのピカデリー・サーカスにあるICA(ロンドン現代美術館)が開催した〈非犯罪化に向けて〉という展覧会の報告をします。ICAは、既存の美術館では困難な前衛的・政治的美術表現の受け皿として1946年に設立された美術館で、80年代にはエイズをめぐる展覧会を開催しています。

同性でも教会前で堂々といちゃつけるソーホーの街角
同性でも教会前で
堂々といちゃつけるソーホーの街角

展覧会の趣旨についてICAはこう言っています―「〈非犯罪化に向けて〉は、13名の国際的アーティストによるグループ展で、これまで世界中のセックスワーカーが取り組んできた非犯罪化運動に焦点を当て、この運動と否応なく結びついた移民の人たちの人権、社会正義、労働者の権利、LGBTの解放などを扱った作品が展示されます」。

強烈な印象を残した映像作品をひとつ紹介します。アフリカがルーツの、障害を持った女性セックスワーカーの作品です。画面は赤、杖をついて色んな動きをする彼女の姿が映し出されます。英語でテロップが流れます。「(社会の)システムは、あたかも私たちに存在してほしくないと言わんばかりの態度で私たちを組織化している」「私がここにいるのは、障害を持つ身体に対する人々の見方を変えるためだ」「私は障害を持つクライアントのために、異性愛男性でないクライアントのために働きたい」そして最後に「あなたは私たちの言葉を理解できた?それともフェイクだと思った?」この作品、なんとか日本で上映できないものかと考えています。

ソーホーのパブはどこも人が溢れ出てました!
ソーホーのパブはどこも人が溢れ出てました!

さて、大きな商業施設(ハロッズ百貨店やコベントガーデン)や美術館(ナショナル・ギャラリー)、トラファルガー広場など観光の目玉が立ち並ぶピカデリー・サーカスを少し北に歩くとそこはソーホー地区。バー&クラブ、ポルノショップ、風俗店、映画館、劇場が軒を連ねる盛り場です。至る所でレインボーフラッグが目に入るし、路面店が多いのでゲイポルノショップのデカイ看板があったりすると「ここはゲイタウンか?」と思ってしまいますが、実際には週末の夜など老若男女でごったがえす、ゲイタウンを内包する盛り場というべきなのでしょう。お洒落な雰囲気の街なので、大阪でいうと南堀江がゲイタウン化したような、でも人通りの多さでいうとゲイ向けの店が立ち並ぶお初天神商店街みたいな、そんな街。

印象深かったのは、教会を囲む塀や狭い路地など薄暗い空間が至るところにあって、ハッテン中のゲイカップルを見かけたこと。きっとバーやクラブで意気投合して「一発ヤリテエ!」となった人たちなんだろうな。でもよく知らない相手を自宅やホテルなどの密室に連れていくのはちょっと不安だというとき、こういう薄暗い場所を利用することができる、というのは都市の重要な機能のひとつだと思うのです(これを私は「抜け道で抜く!」と呼んでます)。公共空間だからこその安心感があると思うわけです。人目につくようで、つかない、でも人の流れはあるのでいざとなれば助けを呼ぶことができる、という安心感。

日本に置き換えてみれば、たとえば京都の鴨川べりで等間隔に並んでいるカップルたちがハッテンしてて、そのなかにはゲイやレズビアンのカップルもいる、というのが私の理想とする都市の風景なんですね。大阪だとどこになるのかなぁ…。

ポルノショップの壁一面がゲイエロティック
ポルノショップの壁一面がゲイエロティック
ソーホーの通りに面したポルノショップ
ソーホーの通りに面したポルノショップ
右:ソーホーの通りに面したポルノショップ
左:ポルノショップの壁一面がゲイエロティック

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