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南界堂通信〈夏号|第23号〉

男色エンタメ紀行

トランス女性を描いた南米チリ発の映画。

アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『ナチュラルウーマン』。
この映画を観た四人の方々に印象を鼎談風に語っていただきました。

司会:まずは感想を一言ずつ……

A子:とても綺麗な映画に仕上がっていると思った。

B介:同感。逆風、逆境に立ち向かう主人公マリーナの強さが印象に残った。急死した恋人の家族から徹底して排除されるという逆境はゲイにも通じる話だと思いながら観た。

O介:ゲイと同じなのかなぁ……それはさておき、逆境に立ち向かう主人公をヒロイズムに陥ることなく描ききったところが素晴らしいと思った。

ナチュラルウーマン

L子:私は、逆境に対してすごく怒ってる彼女の姿が印象的だったな。私もトランスしてることをからかわれた経験たくさんあるから、この映画を観ていろいろ思い出しちゃって、言葉にできない怒りがぐわーって込み上げてきたよ。

A子:主役を演じたのがほんもののトランス女性の女優兼歌手だったのが大きかったかもね。

L子:演技だけじゃなく歌のシーンも素晴らしかったね。歌ってる時のマリーナはすごく魅力的だったり神秘的だったりで、この映画で一番好きなシーンかもしれない。

A子:同じトランス女性として、身につまされた。恋人の家族からの攻撃にあそこまで強く立ち向かうことは自分にはできなかったのではないか、と思うと身につまされるものがあった。

L子:うんうん、「彼女なりにいろいろ悩んで妥協点を見つけたんやろうなー」って思った。

B介:あの、文字通り逆風の中を歩いていく姿とか、恋人の遺体を入れた棺桶が火葬場で焼かれるシーンとか、リアリズムなのか幻想なのかよくわからない、そこがこの映画に奥行きを与えてるよね。

ナチュラルウーマン

A子:私がもう一点、この映画で素晴らしいと思ったのは、描かれているヒロインが“性同一性障害の人”ではなく“トランス女性”だっていうこと。そこにブレがない。だから冷静に見ることができたし、冷静に見れた自分をふりかえって、「ここ(映画館)に自分がいてよかった」と思わせてくれる映画だった。昔は気負っていたけど、今は変わったし、その変化を、映画を観ることで感じたのだと思う。

司会:四人四様のご意見、ありがとうございました。

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