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南界堂通信〈夏号|第23号〉

海外男街通信

Vienna
distaに時々顔を見せるリヒアルトさんにウィーンのお話を語っていただきました。

ウィーンのLGBT事情

オーストリア出身のリヒアルトと申します。出身はオーストリアの田舎なんですが、18歳のときウィーンに行き、大学で化学と日本学を専攻しました。日本の大学で化学の研究を続けたいと思い、留学。大学院を修了して、今は大阪の会社で働いています。

自分がゲイだと気付いたのは13か14歳のころでしたが、誰にも言わなかったですね。

18のときウィーンに出て、一気に世界が広がりました。化学の分野では自分の仲間だと思える人はほとんどいなかったのですが、日本学のほうでは、150人くらい学生がいるうち、三分の一が男で、男のざっと半分がゲイだったんです。なぜ日本学にゲイの人たちがそんなにたくさん集まってくるのか、私にもわからないのですが、ともかく仲間が急に増えた感じがして、とてもうれしかった。

リヒアルトさん

オーストリアという国は、人口が800万。国全体としてはどちらかというと保守的な土地柄で、かつてのハプスブルグ王朝の時代、オーストリア=ハンガリー帝国の時代を懐かしがる人もたくさんいます。でもLGBTの人たちの権利獲得運動もそれなりの歴史があり、LGBTのパートナーシップは80年代から認められています。特にウィーンの市当局はLGBTの人たちの人権に敏感で、中心街にLGBTのためのコミュニティセンター(“Rosa Lila Villa”といいます。「薔薇とリラの館」ですね)を設置したりして、最近のウィーンはLGBTの人たちが暮らしやすい街になりつつあります。毎年大きなパレードがあり、数万人の参加者がメインストリートを歩きます。

日本に来て不思議に思ったのは、LGBTのパレードの時期が一定しないことでした。ウィーンでは、1969年6月28日のニューヨークのストーンウォール事件を記念してパレードは6月と決まっているのですが、日本では5月のゴールデンウィークだったり、秋だったり……。それはともかく、ウィーン市当局だけでなく、国会にも変化の波は押し寄せていて、2019年には同性婚が合法化される予定です。男女間の結婚とまったく同等の権利が保証されることになります。

ウィーン

こんな風にオーストリアのLGBTをめぐる状況は大きく変わりつつありますが、日本に比べるとマンガなどのサブカルチャーは弱いですね。ボーイズラヴ系に限らず、もっと日本のマンガなどが入ってきてほしいと思っています。LGBT系のサブカルチャーといえば、歌手のコンチータ・ヴルストが有名ですね。お髭のトランス女性で、オーストリアでは圧倒的な人気を誇ります。

最後に、リヒアルトがオススメするウィーンの観光スポットを紹介しますね。オーストリアはアルプスの国だけあってスキーやスケートがとても盛ん。ウィーンの市庁舎の前には冬のあいだスケートリンクができるのですが、そこでスケートをしたあと、市庁舎の向いにある〈カフェ・ラントマン〉(CAFÉ LANDTMANN)というカフェでシュニッツェルやザッハトルテをいただくのがウィーンっ子の冬の定番コースなのです。残念ながら私はスケートは嫌いなんですが〈笑〉……。それはともかく、〈カフェ・ラントマン〉の古き良きウィーン情緒に浸りながらシュニッツェル(牛肉のカツレツ)やザッハトルテ(ウィーン名物のチョコレートケーキ)をいただくのは、やっぱりウィーンならではのもの。ウィーンで一番懐かしいスポットかな。

今回リヒアルトさんのお話を聞き終えた後、いろいろと調べてみたところ、「LGBTフレンドリーで快適に過ごしやすい街」をウィーン観光局が中心に打ち出していて、そういった意味でもLGBT先進国なんだなと感じました。また、「ヒゲの美女」「ヒゲ女装」として一躍有名になったコンチータ・ヴルストさんは、タモリさん司会の「ミュージック・ステーション」にも出演したんですよ!

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