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南界堂通信〈夏号|第27号〉

エイズ対策のキーパーソンたち

エロと教育の狭間を目指して.../井上貴光さん(ジェクス株式会社 開発マーケティング本部 企画部部長)

日本で初めてゼリー付きコンドームを販売、
来年創業60周年を迎えるコンドーム会社ジェクスの井上貴光さんに突撃インタビュー!

MASH大阪(以下M):コンドームやローションといったセクシュアルヘルスに関するものから、乳幼児ケア、口腔ケアと幅広く商品展開をされていますが、そもそもの始まりは?

井上医療機器メーカーとしてゼリー付きコンドームを日本で初めて販売したのが始まりです。その後、コンドームに付随する形でローションやゼリーといったセクシュアル系の商品を展開しながら、新しい市場として乳幼児商品を手掛けるようになり、現在のシェア率は半分半分というところでしょうか。

M:セクシュアル商品と乳幼児商品、なんとなく真反対なような気もするのですが…

井上一見真反対のように見えますが、セックスの延長線上に乳幼児商品が存在します。「あのコンドームの会社が作っているのなら」と手に取って下さるご夫婦も多くいらっしゃいます。「人生を通じて愛を育むメーカー」という感じでしょうか。

M:なるほど、コンドームと乳幼児商品はつながっているのですね。素朴な質問なのですが、ゼリーとローション、何か違いってあるのですか?

井上:私どもの会社では肌と肌で使うものをローション、粘膜に使うものをゼリーと定義しています。実を言いますと、粘膜に触れるアイテムを作るのは非常にハードルが高いんです。粘膜に対して刺激のある成分は使用する事はできません。そのあたりは医療機器メーカーである以上誇りを持って商品を提供できていると思っています。

M:(その医療機器である)コンドームを開発する上で難しいことは何でしょうか?

井上:人の目が気になるためか、コンドームを購入する方の多くは棚の前で十秒以内しか立ち止まらないと言われています。成分や性能をいくら謳ったところで、CDのジャケ買いのように目に飛び込んできたものを手に取る傾向があるんです。それならばということで開発されたのが『バタフライ』シリーズになります。

M:バタフライは個別パッケージも蝶々の形でゲイの間でも人気が高いですよ。

井上:コンドームひとつにしてもそこにステータスがあるように思うんです。「オレはこれ!」というアピールに繫がればいいなと思っています。

M:昨年扇町公園で開催されたレインボーフェスタではブースも出展されていましたね。

井上:ゲイの方に人気の『8986』の試供品や、テレビでも取り上げられたマウスウォッシュを配布させて頂きました。以前は他のコンドーム会社さんも出展されていたのですが、昨年は当社だけになってしまいました。以前『8986』をMASH大阪さんと開発した時もそうでしたが、「こういった商品があればいいのに…」「もっとこうすればいいのに…」といった生の声を聞けるだけで我々はスイッチが入ります。そういったコミュニケーションの場は大切にしていきたいと思っています。昨年のレインボーフェスタには部署を超えてたくさんの有志が参加してくれた事も嬉しかったですね。この春に新しいコンドーム『ZONE』を販売することになりました。まるで付けていないような、ゴム感を感じさせない画期的な商品なんです。

バタフライ・ZONE・8986
中央・ジェクスが独自に開発した、装着感を感じさせない“ステルスゼリー”を搭載したコンドーム「ZONE」。

M:それは楽しみですね。あと、企業としてレッドリボンやピンクリボンの活動にも力を入れてらっしゃいますね。

井上エイズや性感染症の予防という観点からすればコンドームは欠かせないアイテムです。それを作っている企業だからこそ何かしらの社会貢献をしていく必要性があるんだと思っています。レッドリボンの活動も既に十年以上続いています。皆さんから頂戴する声を少しでも商品化していく事もひとつの社会貢献だと捉えているので、いろんな意見を頂けるよう切磋琢磨していこうと思っています。

M:貴重なお話、ありがとうございました。

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