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南界堂通信〈秋号|第28号〉

エイズ対策のキーパーソンたち

大阪府民の性的健康を守るために尽力する/新海のり子さん・元木瞳さん(大阪府健康医療部)

大阪在住のゲイの性的健康を管轄するお役所といえばここ、
大阪府庁の6階にある医療対策課のオフィス。
MASH大阪立ち上げの際(1997年)には随分通った、なつかしいところです。
今回は新海さん、元木さんのお二人に大阪府の性感染症の現状について
お話をうかがいました。

そもそも医療対策課感染症グループとは、何をするところなのですか?

新海:4つのセクション─①エイズなどの性感染症対策、②結核対策、③新型インフルエンザ・予防接種風疹などの対策、④ノロウイルス・O157・はしかなど突発的な感染症への対策─に分かれています。私たちは①の担当ということになります。大阪府下の保健所を統括する立場ですが、保健行政上は独立している政令都市(大阪市、堺市)と中核都市(東大阪市、高槻市、豊中市、枚方市、八尾市、寝屋川市)の保健所とも連携して対策を進めています。

M:大阪のエイズの状況は?

新海のり子さん

新海ここ数年、報告されている感染者数はわずかに減少傾向にありますが、長い目で見ると横ばい状態で、まだまだ減少に転じたといえる状況には程遠いです。気になるのは、10代の陽性者が増えていること、20代の人がいきなりエイズを発症して見つかるケースが増えていること。

M:なるほど、いずれにしても若い世代でHIV感染が減っていないし、発症するまで気がつかない人たちがたくさんいるわけですね。これはMASH大阪にとっても課題なのですが、それは置いておいて、梅毒の状況はどうなんでしょう?

新海:ここ数年ずっと増加傾向にありましたが、今年に入って増加のカーブが少しゆるやかになってきています。10代、20代の女性に増えているのが特徴なんですが、専門家の先生によると、異性愛の男女間で流行っている梅毒とゲイの人たちの間で流行っている梅毒とではタイプが違っているそうです。梅毒はもともと、しっかり治療しないと重篤な症状を引き起こす性感染症ですので、以前から診察した医師は最寄りの保健所に件数を報告しないといけなかったのですが、今年の1月から、感染の経路が性風俗に勤めていたのか否か、性風俗を利用したことがあるのかないのかを患者さんにたずね報告することになりました。

M:なんだかエイズと同じ扱いになってきている?ゲイ男性が梅毒と診断された場合、ハッテン場で感染したと思ったらどう答えたらいいんでしょう?

元木:そうですね…個人の判断におまかせするしかないですね(笑)でも、感染経路が同性間であることは、可能であれば医師に申告して欲しいです。ちなみに、梅毒と同じ時期に、エイズも感染時期の目やすとなる血中のCDリンパ球数を報告することになりました。

M:東京都で大流行していると言われたA型肝炎は?

新海:大阪では東京都ほど増えていないんです。もちろん油断はできませんけど。あと、B型肝炎も目立った動きはありません。

M:性感染症の状況はだいたい分かりました。クリニックの協力のもと大阪健康安全基盤研究所(旧大阪府立公衆衛生研究所)とMASH大阪はエイズ対策の一環として長いあいだ「クリニック検査」を協働で実施してきました。数年前からは、大阪府事業として実施し、MASH大阪は広報を担当しています。今年の実施はいつごろになりそうですか?

元木今のところ9月と来年1月に実施の予定です。

元木瞳さん

M:無料になったいきさつは?

新海:国連合同エイズ計画が、HIVの感染を抑えるために、2020年までに達成すべき目標をあげました。日本は、現時点では目標を達成できていません。目標達成するために、もっと検査を受けてほしい、特に若い方に受けてほしいとの思いがあります。また、昨年度大阪で日本エイズ学会が開催された折、学会長である国立病院機構大阪医療センターの白阪先生が大阪府知事を表敬訪問した際に、知事からも無料化で実施しはと提案があり、今年度から無料化になりました。

M:なるほどね。興味深いお話、どうもありがとうございました。

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